直売所での客の言葉に、よっしゃ、また頑張ろう。

今本吉男さん 大阪しろな

(いまもとよしお / 今本農園)

  • 泉南
  • JAいずみの
  • 大阪しろな

直売所での客の言葉に、やりがいを知る

そんな折、畑から車で5分ほどの場所にJAいずみのが手掛ける農産物直売所「愛彩ランド」ができた。愛彩ランドでは、出荷者が自分で値付けをすることができる。

ある日、自分の名前のついた野菜を売り場に並べていると、突然、顧客から声をかけられた。「あら、あなた、今本さんなの? この間、あなたの名前のついた大阪しろな、買って食べたら美味しかったので、また買いにきたんよ」と。

「びっくりしました」吉男さんは、続けた。「市場出荷では、そんな言葉をかけてもらえる機会はなかったので、とっても嬉しかった」そして「よっしゃ、また頑張ってつくろう。農業って面白い仕事やな、と感じることができたんです」と。

自分でつくった野菜を愛彩ランドに出荷するようになり、買う人目線で考えられるようにもなったという。顧客はどんなものが食べたいんだろうか。何を出したら喜んでくれるだろうか。

2018年秋に大阪を襲った台風で、吉男さんの作業場と倉庫は、全壊に見舞われた。「屋根も壁もとにかく、全部飛んでいってしまいました」。苦難を乗り越え、倉庫を新しく建て替えた。新装、ピカピカ。通りに面したドアをあけると開放的な明るい空間になる。「楽々つめっ子」という野菜袋詰め機で、大阪しろなをスイスイとつめていく吉男さんに、今後の目標をたずねた。

「以前は、たくさんつくって、たくさん市場に出そうということばかり考えていた時期がありました。今は、美味しいもん、顧客に喜んでもらえるもんをつくりたいという気持ちが強くなりました。伝統ある大阪しろなを、喜んで、たくさんの人に食べてもらいたいです」。

大病を患った父の代わりに、ほんの少しの間の手伝いだと思っていたのに、すっかり農業にはまってしまった吉男さん。農産物の直売所は、全国に山ほどある。市町村、JA、民間など、運営母体も多様であるが、総じて生産者が自分で価格をつけ、生産者と消費者がダイレクトに出会える場の一つとなっている。

食べた人からの「美味しかった」という声は、つくり手の「やる気スイッチ」を押すことにつながることを再認識させてくれた。

取材日 2019/2/13

記 事 中塚華奈

写 真 柴田久子

氏名 / ふりがな
今本吉男 / いまもとよしお
生年
1975年生まれ(43歳)
農家歴
13年 / 2006年より就業
前職 / 出身校
ガス工事・コピー会社技術職 / 近畿職業能力開発大学校
組織名
今本農園
役職
代表
従業員
ご本人+ご両親
主な生産作物
シロナ・コマツナ・ミズナ・ほうれん草・ニンジン・キャベツ・ハクサイ・枝豆
正式な品種名
早生しろな
耕地面積
70アール
特徴
露地栽培にこだわる
理念
チャレンジ精神を忘れず、消費者目線で美味しい野菜をつくる
JAエリア
JAいずみの
購入方法
愛彩ランド : http://www.ja-izumino.or.jp/farmstand/index.php
JA全農ファーマーズららぽーと和泉店 : https://mitsui-shopping-park.com/lalaport/izumi/shopguide/701825.html
岸和田綜合食品地方卸売市場(岸和田青果)

今本農園

大阪府岸和田市真上町

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