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来て、飲んでくれた人から、広がっていく
認知度向上に奔走した。大阪でワインを作っていることを知ってもらうためにワイナリー見学を開始し、ぶどう畑の案内やワインのテイスティングも始めた。テイスティングルームには、明治から大正時代の実際に使用していた醸造器具が展示されている。国の指定文化財となっている貯蔵庫の2階だ。
ワイナリー見学をした人たちは、どんどんファンになっていく。いろんな人たちがボランティアとして協力してくれるようになった。その数、470人だそうだ。
先人たちが苦労してぶどう畑を開墾し、ワイン造りをしてきたことを多くの人に知ってもらい「大阪ワイン」ブランドを全国に発信していくために、2012年には大阪ワイナリー協会を設立し、初代会長になった。2016年には関西ワイナリー協会を設立し、ここでも初代会長を務めた。
2019年内には関西だけでなく、中国、四国、九州のワイナリー全65社が加わる西日本ワイナリー協会を設立しようと準備を進めている。最近、嬉しいことがあった。6月28日、29日に開催された「G20大阪サミット2019」の夕食会などで、カタシモワイナリーのワインが7種類も採用されたのだ。
古民家の風情、空き家の現実
「この界隈には、100年以上前からある古い家が残っているんや」。ワイナリーのすぐ近くにある細い路地に入っていくと、風情のある古民家が立ち並んでいた。これら古民家にも空き家が増えているそうだ。ぶどう畑だけでなく、町並みもひっくるめて景観を守っていかなければならないと利洋さんは考えている。
この地がぶどうで栄えたことを物語る寺がある。柏原市太平寺2丁目の安明寺(あんみょうじ)だ。本尊の仏壇の周りには見事なぶどうの装飾がほどこされている。何より驚かされるのが天井画である。
ぶどう画天井の寺、安明寺
照明がある中央の板を除く80枚の天板ぜんぶにぶどうの新芽、黄緑色のマスカット、紫色のブドウなどが描かれている。描いたのは美大出身の住職の奥さんだ。町のあちこちにぶどう畑やぶどう棚があり、子どもたちがぶどうの下を通り抜けて学校に通っていた時代があった。ぶどうは堅下の象徴だった。その歴史や意義を、子どもや次の世代へ繋ぎたいという思いを込めて描かれたそうだ。
みんながこの地を訪れたい、そう思われる場所になるには、ぶどう畑の風景、町の風景が必要なのだ。やるだけやって、ダメでもチャレンジし続けたら先祖さんも許してくれると思っている。大事なのは、この地域をどう守っていくかだ。
「JAに物申すこともあるよ。やっぱり地元を大事にせなあかん。特に農業はその地のルーツそのものや。効率化、合理化の波に負けんと、土地のルーツを守っていかなあかんのや」。地域に文化があり、そこに根付いたワインであれば、きっと海外の方にも飲んでもらう価値が生まれる。めざすは地元愛にあふれる、あたたかくてかっこいいワイナリーなのだ。
取材日 2019/7/3
記 事 湯川真理子
写 真 柴田久子
【参考】 G20に採用されたカタシモワイナリーのワイン
◎6/27 大阪・関西歓迎レセプション
・合名山北畑デラウェアスパークリング2015(泡・白)
・利果園 白 堅下本葡萄2017(白)
◎6/28 ワーキング・ランチ
・宮ノ下スパークリング2014(白・泡)
◎6/28 首脳夕食会・カクテル
・葡萄華35度デラウェア葡萄 樽熟(グラッパ)
・合名山北畑デラウェアスパークリング2015(泡・白)
◎6/28 河野外務大臣主催 外相夕食会
・合名山シャルドネ木樽熟成2017(白・辛口)
・合名山メルロー(赤・辛口)
- 氏名 / ふりがな
- 高井利洋 / たかいとしひろ
- 生年
- 1951年生まれ
- 農家歴
- 43年(1976年カタシモワインフード株式会社入社)
- 前職 / 出身校
- 近畿大学理工学部卒 / サラリーマン(神戸の貿易関係の会社)
- 組織名
- カタシモワインフード株式会社
- 役職
- 代表取締役
- 従業員
- 30名
- 主な生産作物
- ワイン(ワイン用ぶどう栽培)
- 耕地面積
- 自社農園 3.5ヘクタール、協力農園 20ヘクタール
- 特徴
- 明治から葡萄栽培に着手し、大正元年よりワイン醸造を開始。伝統を引き継ぎながら葡萄畑を守り、情熱を持ってワイン造りをしている。
- 理念
- 仕事は楽しく。
- JAエリア
- JA大阪中河内
- 購入方法
-
カタシモワイナリー直売所 : http://www.kashiwara-wine.com/bigone/bigone.html
- ホームページ
- カタシモワイナリー : http://www.kashiwara-wine.com/
カタシモワインフード株式会社
大阪府柏原市太平寺2-7-33