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高槻市の南端、三箇牧地区で代々続く農家の横山喜一さん(61)を訪ねた。
父の代までは特産の「三箇牧トマト」を生産していたという。サラリーマンとして働きに出た喜一さんも農業の手伝いはしていた。52歳で早期退職を決断し、農業一本の道を選び、地区で唯一のブルーベリー農家になった。それを6月初旬からお盆まで大賑わいの観光農園「たかつきベリーファーム」に成長させた。
ブルーベリー栽培に決定
農業と一口にいっても育てたいものは様々である。喜一さんがブルーベリーを選んだ理由が安全安心、「第一に農薬を使わずに生産できること」であった。
ブルーベリーはツツジ科スノキ属の小果樹で、青紫色の果実を実らせる。病害虫に強いといわれ、全国各地のブルーベリー農園でも農薬不使用で生産されていることが多い。
自己資金で養液栽培を導入
喜一さんは、全国のブルーベリー農家へ視察に行き、「これだ!」と思った栽培方法を見つけた。それが「バッグカルチャー」という養液栽培のシステムである。
このシステムの特徴は、フラワーアレンジメントで使う給水スポンジのような特殊培地を入れたバッグでブルーベリーを育てる、つまり鉢植えだ。貯水槽から一つ一つのバッグにつながる潅水チューブを通じて水と液肥が混合されたものが全自動で与えられる。これでブルーベリーが好む酸性土壌を維持しながら、健康に育てることが可能になる。
自動化が進んでいるので、万が一の病害虫に対しては農薬を使わずに人力を投入しやすい、ということ。なかなかの優れものだ。そして、地面には防草シート、上空には防鳥網が設置されている。費用は退職金から出したというから、喜一さんのブルーベリーにかける思いがうかがえる。
ブルーベリーの観光植物園だ
ブドウはいろいろな品種が出回っているのでイメージしやすいが、ブルーベリーはハイブッシュ系とかラビットアイ系など一括りにされるので、品種名では知られていない。
けれども、じつは多品種である。たかつきベリーファームでは3500㎡の農園に800本、ホームページ上では40品種と控えめに書いてあるが、実験的なものまで含めると70品種以上のブルーベリーを栽培している。
この取材時期に収穫できたブルーベリーは9種類。モンゴメリー、リバティ、フロリダローズ、メンデイト、ブライトウェル、デライト、ピンクレモネード、オースチン、タイタンという品種。
並べてみると違いがわかる。食べてみると甘味、酸味、旨味のバランスがそれぞれに違う。人により好みはあるだろうが、どれも好きな味である。これほどの違いを発見できるのもたかつきベリーファームの魅力。