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上神田で野菜を出荷する唯一の農家
おひさまファームでは農産物をJAの朝市や産直市場「よってって」にも出荷している。寝屋川市とJAが主催する「農業まつり」、地元の工務店が主催する「根っこマルシェ」、中学校で開催されている「ハッピーバルーンフェスティバル」、保育園の「秋フェスタ」など、地域イベントに出店することもある。
寝屋川市上神田(かみかみだ)には、販売農家は滝本家だけ。地域イベントには欠かせない存在として、この辺りで農家といえば、おひさまファームに声がかかる。
守口にある創作料理「華ゆりね」へは極上の野菜を定期出荷している。華ゆりねとのご縁は、母の多美子さんが店の常連だったこと。田植えや稲刈りなど家族総出の農作業の打ち上げは決まって、「華ゆりね」で開くという。打ち上げには、祖父信夫さんのひ孫5人も加わり、にぎやかな大宴会が繰り広げられる。
ご近所とも取引があり、総菜屋さんには調理用の野菜を出荷している。MOTTAINAI精神*の賜だ。おひさまファームは、畑で穫れたものを余すことなく提供している。
*MOTTAINAI精神とは、ワンガリ・マータイさん(ケニアの環境保護活動家)が提唱。地球資源保護と循環型社会構築の礎となる考え方の一つ。
農業っておもしろい?
友人が就職活動を始めた頃、自身の進路について悩んでいた拓馬さんは、家族に尋ねた。「農業っておもしろい?」「おもしろいで」とこたえたのは祖父信夫さん。「伸びしろが大きくて楽しいかも」と母多美子さん。この時の何気ない家族の会話が、拓馬さんを農業へ導いた。
「小さい頃から祖父に着いて田んぼで遊んだ体験があるし、畑は普段から手伝ってきた。基本的に農業が好きなんです。将来を決めるきっかけが欲しかったんでしょう。跡を継ぐかどうかについて、祖父や両親からの圧力は、むしろ全くなかったんです」。
そう話す拓馬さんを、きょとんとした顔で見つめるのは、祖父信夫さん。そして一言。「え、期待は大きかったんやで(真顔)」。一同、大笑い。
都市だからこそたくさんの人に、新鮮なものをすぐ食べてもらえる。直接、美味しいと言ってもらえる。種を撒き、芽が出て、自然の恵みを、収穫して、提供する。
農業は、日の光を吸収した作物を育て、届ける仕事だ。周囲が農業を離れていく中、拓馬さんは自分が生まれ育った寝屋川の田畑を、笑顔あふれる場所として残していきたいと思った。
あたたかい、陽だまりのような直売所
直売所の看板やポスター、飾られる野菜のオブジェは、店長拓馬さんのセンスだ。直売所おひさま野菜 拓は、毎週水曜10時にオープン。信夫さんがいる日は野菜の栽培や寝屋川の歴史の話、多美子さんがいる日は料理やレシピの話に花が咲く。拓馬さんの姉は野菜ソムリエで、姉が店に出る日もある。誰が店番をしているかは、行ってみてからのお楽しみ。
規模を追わない、人手に頼らない。手の届く仕事をしっかりやっていきたいという思いが、おひさまファームにはある。だから畑も直売所も、家族9名でできる範囲のことを、家族をあげてやる。顧客や取引先とは、直接に声が聞ける関係を心がける。それらの想いは祖父が築き、滝本家に受け継がれているスタイルであり、顔の見える地産地消の農業すなわち都市農業のあり方そのものであると思えた。
おひさまファームはその名の通り、日の光を吸収した農作物を育てている。都市のど真ん中に、あたたかい陽だまりのようにあって、自然の恵みを届ける農家だった。
取材日 2018/10/30
記 事 中塚華奈
写 真 柴田久子
- 氏名 / ふりがな
- 滝本拓馬 / たきもとたくま
- 生年
- 1987年生まれ(31歳)
- 農家歴
- 8年(2010年より就業)
- 前職 / 出身校
- 桃山学院大学経営学部
- 組織名
- おひさまファーム
- 役職
- 店長
- 従業員
- 祖父+父母+ご本人ご夫妻+姉夫妻+弟夫妻の9人
- 主な生産作物
- 旬の野菜と果物とお米、田畑でとれるもの約70種類
- 正式な品種名
- トマトは桃太郎、米はヒノヒカリ
- 耕地面積
- 水田90アール、畑30アール、里山(竹やぶ)60アール、稲刈り受託60アール
- 特徴
- おいしくて新鮮な四季折々の旬の農産物をつくる
- 理念
- できるだけ農薬を使わずに露地栽培。地元の野菜でエコライフ。
- JAエリア
- JA九個荘
- 購入方法
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直売所「おひさま野菜 拓」 : http://www.eonet.ne.jp/~ohisamayasaitaku/tizu.html
<飲食店> 華ゆりね 守口店 / 創作料理
- ホームページ
- おひさま野菜 拓 : http://www.eonet.ne.jp/~ohisamayasaitaku/
おひさまファーム
大阪府寝屋川市高柳5-27-7