期待に応えるのではなく、超える! 進化しつづける農園。

天野茂雄さん 大阪ぶどう

(あまのしげお / 天野ぶどう園)

  • 中河内
  • JA大阪中河内
  • 大阪ぶどう

JA中河内柏原営農購買所にてプレ学習

天野ぶどう園三代目の天野茂雄さん(40歳)を訪ねた。天野ぶどう園が山中の急斜面にあるということで、取材クルーははじめにJA中河内柏原営農購買所の駐車場に集合し、クルマ2台に乗り合わせていくこととなった。

JA中河内柏原営農購買所の事務所の中で、冷たいお茶をいただきながら、三並敏崇所長より柏原のぶどう栽培についてのレクチャーを直々に拝聴。

柏原市には農家が運営する直売所が21店舗もあること、ぶどう栽培の歴史は古く、約300年前には紫ぶどうが家屋の日陰樹として植えられていたこと、2~3世代目が後を継いでぶどう栽培を行っており、若手農家による4Hクラブやぶどう栽培同好会の活動が活発に行われていることなどの基礎知識を教えていただいた。

レクチャー終了後、三並所長の運転する車について、いざ、天野ぶどう園の直売所とぶどう畑へ。

鈴なりぶどうの直売所

天野ぶどう園の直売所は、柏原市にある大阪教育大学から奈良県の香芝市方面に約4キロ進んだ国道165号線沿いにある。はじめに目に飛び込んできたのは、「農の匠 歓迎天野ぶどう園 ぶどう直売所」と書かれた看板。茂雄さんのお父さんの映さんは平成15年、「農の匠」として認定されている。

次に視界に飛び込んできたのが「天野ぶどう園産地直売所」の店舗と看板の上に覆い被さるぶどう棚。よく見るとぶどうが鈴なりだ。収穫適期がきたら販売もする。直売所では、茂雄さん、ご両親やお姉さん、パートさんたちが、山のようなデラウェアに囲まれながら調整作業の真っ最中。

自分で販売することの魅力と高い外部評価

茂雄さんは、小さい頃から白球を追いかける野球少年だった。名門の智弁学園高校から日本体育大学に進学し、卒業後は社会人野球からの声もかかっていたが、父からのすすめもあり就農することに。

「学生時代には、家のぶどう園の仕事の手伝いは全くしていませんでした」という茂雄さん。しかし、三代目としてぶどう園を継ぐ気持ちを後押ししたのは、先代が築いてきた天野ぶどう園のやり方に魅力を感じたからだという。

「うちは、すべてのぶどうを自分の直売所で販売しています。自分でつくったものをお客様に直接販売できることに、市場にはない魅力とやりがいを感じたんです。もしも卸売市場に出荷していたら、自分のぶどうがどのように評価されているか、わからないですもんね」。

天野ぶどう園のぶどうの評価がとても高いことは、直売所に所狭しと飾られている先代からの表彰状が物語る。家に飾りきれなくなったという表彰状を拝見すると、「第7回全国果樹技術・経営コンクール全国2位」をはじめ、様々な品評会において農林水産大臣賞や大阪府知事賞、大阪府議会議長賞、大阪中河内農業協同組合長賞などを受賞した時のものがずらり。

取材後にも、またひとつ表彰状が増えた。2019年度の柏原市果樹振興会による柏原市ぶどう展示品評会にて、デラウエア出品25点中、房の形状、粒ぞろい、着色、糖度などを審査した結果、最優秀賞の大阪府知事賞は茂雄さんの手に。

美味しさの秘訣は、ぶどうの声を聞くこと

デラウエアとシャインマスカットを試食させていただいた。あまりの美味しさに絶句。とにかく甘くてみずみずしい。

「こんなに美味しいデラウエア、初めて食べました」と感激していると、「今よりも6月のぶどうのほうが美味しいですよ」とスタッフの皆さんが口を揃えて言う。来年は6月に訪れなくちゃ。

ぶどう畑に移動し、美味しさの秘訣をおうかがいした。「ぶどうの声を聞くことです。“足跡が肥料”なんて言ったりもします。どれだけぶどうに目をむけることができるか。気候によってぶどうは変わるので、しっかりと見て、手をかけてあげることです。モットーは進化しつづけることです」という茂雄さん。

1 2

この記事をシェアする