- 泉南
- JA大阪泉州
- 大阪ふき
いざ、ふきハウスへ
ハウスの中へ、連れていってもらった。「冬の寒さと霜から守るために、ハウスのビニールは二重張りにしています。土には骨粉などの有機物をいれています。9月末頃に植えつけて、12月、3月、5月の年間3回、収穫します」と、ふき栽培について、忠重さんからレクチャーしてもらう。
新品種「のびすぎでんねん」の場合、ハウスに植え付けるのは3年めの地下茎。植え付けまでに2年をかけ、露地の畑で地下茎を増やす。
地下茎は、横へ4本、5本と広がる。その深さは、地下5~10センチメートル。地下茎には、先端に葉をだすものと、早春に花のつぼみ(フキノトウ)を出すものがある。地下茎から伸びる葉柄がある。ふきの茎だと思われがちだが、葉柄はハサミで切り落としておく。
「春に植えた地下茎が伸びます。7月に掘り出して、20センチくらいに「調理」(土を落として適切な長さに切ること)して、冷蔵庫にいれます。地下茎は2年目も再び露地に植え付けて伸ばし、同じように7月には掘り出して調理し、冷蔵庫で保存します。ようやく3年目にハウスに植え付けるんです」。
ふきは、食べられるまで3年かかる。まったく知らなかった。
野中ファームでは、貝塚市の親戚から地下茎を譲り受け、ハウスで栽培するようになった。地下茎の増やし方から掘り出し方、調理の仕方、植え付け方、温度管理、土づくりまで、泉州で培われてきたふきの栽培技術は、忠重さんへ確実に伝承されている。
おいしい大阪ふきを、知ってほしい
最近は、ふきを食べたことがない子どもが増えた。おにぎりのおべんとうを喜ぶ童謡がある。歌詞にふきが出てくるが、ふきを知らない今の子たちは、ふきをベーコンに、おにぎりをサンドイッチに置き換えて歌うのだとか。
「ふきが好きだという人は、全国の産地のなかでも大阪のふきが一番美味しいと言ってくれるんです。これからも、大阪ふきのファンを増やしていきたい」という忠重さん。「子どもも小さいんで、がんばります」。はい、ぜひお子さまと、元祖おにぎり版おべんとうの歌を熱唱していただきたい。
ふきをいただき、帰ってからお出汁で炊いてみた。葉っぱは佃煮にして、余すところなく完食。
実は、筆者はこれまで、ふきを好んで食べてこなかった。スーパーで手にとったことは、一度もなかった。しかし、忠重さんにふきの話をうかがい、畑を見せてもらってから食べたふきは、独特の味とほろ苦さが口に広がり、格別だった。その味は「おいしすぎでんねん」と命名したいほど、まさに食わず嫌いだった。
野中ファームの「のびすぎでんねん」、目印はキャベツとたまねぎの帽子をかぶり、虹からひょっこり顔をだしたオリジナルキャラクター。可愛い。デザインしたのは、忠重さんの姉だ。スーパーの棚でこれまで見向きもしなかった人にぜひ、ふきを手にとってもらえるきっかけになることを願いたい。
取材日 2019/2/12
記 事 中塚華奈
写 真 柴田久子
- 氏名 / ふりがな
- 野中忠重 / のなかただしげ
- 生年
- 1978年生まれ(40歳)
- 農家歴
- 23年 / 1997年より就業
- 前職 / 出身校
- 関西空港国内線航空貨物業務
- 組織名
- 野中ファーム
- 役職
- 代表
- 従業員
- お父さん+ご本人+おじさん(お手伝い)
- 主な生産作物
- ふき、キャベツ、たまねぎ、米
- 正式な品種名
- のびすぎでんねん(ふき)、あきたこまち(米)
- 耕地面積
- 田80アール、ハウス10アール
- 特徴
- なにわの伝統野菜「大阪ふき(のびすぎでんねん)」を栽培している
- 理念
- 伝統を守り、次世代に伝える
- JAエリア
- JA大阪泉州
- 購入方法
-
葉菜の森 : http://hananomori-osaka.com/
めぐみの郷 : https://www.meguminosato.co.jp/
野中ファーム
大阪府泉佐野市上之郷