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産業団地で野菜栽培
(株)みらくるグリーンは、テクノステージ和泉という総面積103.4ヘクタールの広大な産業団地の中にある。食品製造業、繊維工業、木材製造業、鉄鋼業、情報通信機器機具製造業など120を超える企業が立ち並ぶ中で、「植物工場」としてベビーリーフの生産を行っている。
ドアを開けると、五唐秀昭さん・恭子さんご夫妻がにっこりと出迎えてくれた。
ハーブの試食でミラクル体験
はじめに、別室で何種類かのベビーリーフを試食させてもらうことに。「ルッコラから食べてみて下さい」。ルッコラは、地中海沿岸原産のイタリア野菜で、英語ではロケット、和名はキバナスズシロ。ピリッとした辛みとゴマに似た香りのするハーブだ。葉っぱのひとかけらを手にのせてくれた。1枚ではなく、5ミリ四方である。
「え、これだけ?」と思いながら、パクッ。まずは口の中にゴマの香りが充満。そのあとに、ガッツーンっと目の覚めるような衝撃がきた。ピリッなんてものではない。目が点になった。
続いて、からし味のフリルマスタード、わさび味のグリーンマスタード、スイートバジル、イタリアンパセリを順番に口に入れる。噛むたびに個性的な味と香りが充満し、口の中は完全にノックアウト状態。
そして最後に手渡されたのは、レッドオゼイユというフランス野菜。英語ではソレル。赤と緑のコントラストがとっても可愛い。先ほどまでとは異なり柑橘系のさわやかな風味が口の中をかけめぐる。
試食がこのようなアミューズメントになるなんて、これはまさしくミラクル体験だ。「ごとうリーフは、いいオリーブオイルと塩で食べるのがおすすめです」。いや、オリーブオイルと塩すらいらないかもしれない。
小規模で安定生産できる「ごとうリーフ」
「では、生産現場へ参りましょう」。防塵服と長靴、帽子を装着。エアシャワーを浴びて、いざ、植物工場の中へ。限りなく無菌に近い空間で、蛍光灯で照らされた棚に葉っぱが5センチ間隔で整列している光景は圧巻だ。
温度管理は23~25℃前後。発芽してから約3週間で収穫適期となる。次々と芽が出てくるので、1個体につき4~5ヶ月間、収穫し続けることができる。収穫には使い易さと切れ味のよいオリジナルのセラミック鋏を採用。ベビーリーフは軽いため、高齢や障がいのある方にも作業に取り組んでもらいやすい。
みらくるグリーンのスペースは、2階建てで、全体面積は約90坪(3アール)。作業場や更衣室、事務所などを除いた植物が育つ床面積は、約18坪(0.6アール)。そこに30×60センチのポットを4枚並べた棚が86台設置されている。棚は4段になっているため、合計栽培面積は床面積の4倍に増え、約2.5アールとなる。
先ほど食べたもののほかにスイスチャード、レタス、シロナなど、合計で20品目前後を栽培。生牡蠣味や青リンゴ味のハーブを栽培していたこともあるという。丁寧に1枚ずつ収穫してパック詰めされた「ごとうリーフ」は、毎日、約20キロほどが全国のホテルやレストラン、スーパーマーケット等に宅急便で届けられる。
みらくるグリーンの近所にあるレストラン「コンポステラ」をのぞいてみた。メニューに「無農薬!ゴトウリーフのサラダ盛り(1,200円)」を発見。パンチの効いたベビーリーフのサラダは、コース料理の一品としてだけでなく、単品で注文するお客様も少なくないという。