都市部の農地は、活かさないともったいない。

田中成嘉さん 米

(たなかしげよし / 個人経営)

  • 中河内
  • JAグリーン大阪
  • 田んぼアート

「せっかく農地があるんやから、活かさないともったいない」

成嘉さんが正会員として所属するJAグリーン大阪英田支店では、かれこれ40年ほど前から壮青年部(現在は「営農研究会」)の活動の一環として、地元の幼稚園や小学校の2年生と5年生を対象に、ジャガイモ掘りと米作り(田植えと稲刈り)の体験の場と機会を提供している。成嘉さんも就農して以来、この取り組みに参画している。

「少なくともうちの地域の小学校の卒業生は、40年以上にわたって、農業体験をしたことのない子はいないんですよね」と誇らしげな成嘉さん。

「せっかくここに農地があるんやから、地元のかたに農業に触れてほしいんです。都市部の農地を活かさないともったいない」こんな農家さんがいてくれる地域が羨ましい。

東大阪市初の田んぼアートにトライ

東大阪といえばラグビーの聖地。成嘉さんの田んぼから少し歩いたところに、1929年に開場した日本最初のラグビー専用グラウンド、花園ラグビー場がある。来年のラグビーワールドカップ2019日本の12の開催地のうちの一つだ。

ラグビー場の横にある東大阪市立花園図書館に連れて行ってもらった。エレベーターで上がり、ベランダに出ると、思わず感動の声がでた。

図書館とラグビー場の間にある田んぼに、東大阪市のマスコットキャラクターの「トライくん」をモチーフにしたラグビー選手とラグビーボール、TRYの文字が見事に浮かびあがっているではないか。

実は、この田んぼアートは、東大阪市内で初めての取り組み。ラグビーワールドカップを盛り上げる企画の一環として、市役所のかたからお誘いを受け、筆者である私も田植えに参加した一人だった。市役所やJAの職員、東大阪市の農家、地元の枚岡樟風高校や大阪商業大学の学生、一般市民の方など、総勢50名程度で田植えをした。その時に、農家の一人として、成嘉さんが参加していたのだ。

しかし、今回の取材でよくよく聞いてみると、田んぼアートの言い出しっぺ、つまり企画提案をしたのは、成嘉さんだったことが発覚。まさに「都市農地を活かすアイディアマン」だったのである。

「田んぼアート」でつながる「農の匠」の輪

「以前から寝屋川で田んぼアートをされている南さんに、やり方を教えてもらったんです」寝屋川の南さんといえば、この「やるやん大阪農業!」で、後に取材にお伺いさせていただく予定の農家さんである。田中さんと南さんは、大阪府の『農の匠』の総会で知り合ったとのことだ。

大阪府の「農の匠」とは、優れた農業経営を行っていることはもちろんのこと、青年農業者の育成や食育活動に積極的で、地域農業のリーダーとして活躍されている農業者を大阪府知事が認定する制度である。

友だちの友だちはみな友だちならぬ、「農の匠」の友だちは「農の匠」だった。「ワールドカップに向けて、来年は、デザインを一新して田んぼアートに取り組む予定です。ぜひ、たくさんの方に田植えに参加し、ラグビーと田んぼアートを楽しみに来ていただきたいですね。お待ちしています!」とのこと。

長年にわたり、田んぼや畑でのイベントを楽しんでもらいながら、多くの都市住民に都市農地との接点をつくってきた成嘉さん。その取り組みは、都市農地の魅力と求心力のアップに確実につながっている。

取材日 2018/9/14

記 事 中塚華奈

写 真 柴田久子

氏名 / ふりがな
田中成嘉 / たなかしげよし
生年
1959年生まれ
農家歴
36年(1982年より就業)
前職 / 出身校
新卒で就農 / 立命館大学産業社会学部
組織名
個人経営
従業員
家族農業
主な生産作物
水稲・レタス・ハクサイ
正式な品種名
水稲(ヒノヒカリ・にこまる)・レタス(バークレー)・ハクサイ(無双)
耕地面積
1.8ha (東大阪に80アール、奈良県天理市と田原本町に1ha)
特徴
水稲栽培を主とし、田んぼの裏作で春野菜を栽培。体験農園も実施。
理念
減農薬に努め、安心して食べられる鮮度のいいものを消費者に届けたい。
JAエリア
JAグリーン大阪
購入方法
直売所 JAグリーン大阪フレッシュクラブ
直売所 JAグリーン大阪英田支店朝市
SNS
Facebook(個人) : https://www.facebook.com/shigeyoshi.tanaka.52

個人経営

大阪府東大阪市

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