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次世代の農業者を育成する
農園は直売所での販売を中心に拡大。成長を後押ししたのが「援農ボランティア」の存在である。当初から「農業への興味を持って欲しい」と受け入れを開始。誰でも気軽に参加できるようにと親子連れから就農希望者にまで間口は広くし、新聞やテレビでも話題になった。実際、参加者の中から農業へ転職する事例も生まれている。
農業×スポーツで、地域を盛り上げる
農業人材の育成に留まらず、農福連携事業、食農イベントなど、数多くの活動を展開してきた。眞典さんが次に着目したのは、スポーツチームとのスポンサー契約だ。
「農業は本来、生活の根幹。人の暮らしや他の産業の、支えとなるのが農業なんです」と眞典さんは話す。40歳が目前だった。心境の変化もあったという。農業者としての自分も、これからは他の産業を応援しようと決意。そんな時、東京オリンピックの話題を耳にし、スポーツ産業を支援しようと思いついた。ここで再び、探究する性格が顔を出した。
ネットで「スポーツ 日本代表 スポンサー契約」と検索。マイナー競技の「コーフボール」に辿り着く。発祥地は農業大国オランダ。コーフはカゴの意味だと知った。カゴは野菜の収穫に欠かせない。地元、大阪には「大阪Mozzu」というチームがあるという。強い運命を感じ、スポンサー契約を名乗り出たのである。いかにも眞典さんらしい展開だ。
コーフボールは、バスケットボールを参考にした男女混合スポーツで、世界約70カ国に普及する。日本の競技人口は100名前後とまだ少ないが、国際オリンピック委員会承認競技でもあるという。これからの成長が大いに期待できる。
心地よさの先に見つけた暮らし
眞典さんが専業農家に転身した理由の一つに「家族との時間を大切にしたい」との思いがあった。会社員時代は0時を過ぎて帰宅する毎日、休日は月6日。「やりがいはありましたが、妻との時間が持てず、幸せとは何かについて考えることも多かったですね」と当時を振り返る。
取材日は、偶然にも14回目の結婚記念日。4歳と2歳になる我が子と、今は家族揃って過ごせる時間も確保できているという。眞典さんにとっての農業は、自身の心地よさを探究した結果でもあった。
農業を、経済で語る風潮が目につく。しかしそこには暮らしに根ざした農業というものの存在が置き去りにされている気がしてならない。ユニークな発想で周囲を驚かせ続ける眞典さんだが、考えの根底には「豊かさとは何か」への問いが、絶えず流れ続けている。
取材日 2018/12/11
記 事 川嶋亜樹
写 真 田村和成
- 氏名 / ふりがな
- 花野眞典 / はなのまさのり
- 生年
- 1978年生まれ(40歳)
- 農家歴
- 8年
- 前職 / 出身校
- 産業能率大学
- 組織名
- 食と人の架け橋 くじらのペンギンハウス
- 役職
- 代表
- 従業員
- 5名(うちパート4名)
- 主な生産作物
- サニーレタス、リーフレタス、ほうれん草、白菜などの季節野菜20~30種
- 耕地面積
- 露地畑64アール、ハウス6アール
- 特徴
- 農業を軸とした多面的活動
- 理念
- 食と人の架け橋。次世代の農業を担う若手農業者として農産物を成長させるだけではなく、お客様と未来ある若者たちの大切な心と身体も育みます。
- JAエリア
- JAいずみの
- 購入方法
-
葉菜の森
愛彩ランド
近隣スーパー内「農家の直売所」
- ホームページ
- くじらのペンギンハウス : http://www.ruua.jp/
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食と人の架け橋 くじらのペンギンハウス
大阪府岸和田市