都市農業、挑戦の記録。

段違いに美味しい、イタリアンランチ

畑から車で10分弱のところにあるピッツェリア「バラッキーノ」さんで、泉州TONOファームの野菜を使った料理が食べられるときき、ランチに訪ねた。前菜プレートと本日のパスタ「水ナスとベーコンのトマトソース」に使われていた水なすとベビーリーフは貴紀さん、「桜エビとアスパラのピザ」のアスパラガスは貴紀さんの母がつくったもの。

バラッキーノのスタッフさんから、こんな言葉がこぼれた。「戸野さんの野菜は、段違いに美味しいです」。

そのことを貴紀さんにお伝えすると「料理をつくる人の腕がいいんだと思います」と、奥ゆかしい返事。もう、どっちにせよ、美味しいことに間違いない。

地域を一つに、泉州TONOファームのこれから

貴紀さんに、泉州の魅力をきいた。「泉佐野市は気候がよい。暖かく、海産物も農産物もとれる、食材に恵まれた土地。大阪の農業は、美味しいものをつくれば出荷するところはたくさんある」。

今後の展開をたずねると「高齢化がすすみ、農業を続けられなくなる人が増えるかもしれません。この先、もっと農地を受託するようになれば、一緒に農業をやる仲間を増やしたり、うちで雇用したりできるような形態にすることも考えていきたい」と。

そして貴紀さんは目標を語った。「先祖から引き継いだこの土地で、これからも自分が食べたいと思え、子どもたちや家族、友人にも安心して食べてもらえるものをつくり続けていきたいと思います」。

都市農業を取り巻く法律が変わり、生産緑地でも賃借できるようになった。高齢で農業ができなくなった人の農地も積極的に守っていこうという貴紀さん。家族農業を起点に、地域と仲間の成長を志向する姿勢に泉州TONOファームの未来が見えるような気がした。

取材日　2019／4／22

記　事　中塚華奈

写　真　柴田久子