合鴨は、なにわの地鶏。起源は太閤、秀吉の時代。

津村佳彦さん 畜産

(つむらよしひこ / 有限会社ツムラ本店)

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真っ向勝負に、生きる

ラグビーに青春をかけたという佳彦さん。「スポーツはどれもええけど、ラグビーは危険やろ、燃えたんや」。幼少時代から手伝い続けてきた合鴨生産と距離を置きたかったというのが裏話らしいが、振り返ると、真っ向勝負に明け暮れたラグビーの経験は、経営者となった今、活きているという。

10年ほど前のこと、当時専務だった佳彦さんに筆者はガツンと叱られたことがある。合鴨農法で米を生産し、収穫後、米も合鴨も食べてしまおうという子ども向けの農業体験を企画した。合鴨の雛をツムラ本店から購入し、成長したら捌き方も教えてもらおうと、軽い気持ちでお願いにあがった時のことだ。

「お前ら、生きもん扱うっちゅうこと、わかって言うてるんやろうなっ」と雷を落とされたのだ。雷が落ちた後、よく話し合った。結果、奥さんの裕子さんと長男の大介さんに鴨の捌きをお願いできることになった。

子どもたちの前で、さっきまで生きていた合鴨が丁寧に素早く切り捌かれていく。1グラムでも多く精肉にすることが命をいただくことへの敬意であり、食材という新たな命に生まれ変わらせるプロの解体の技である。そのことに感動した記憶は今も色褪せない。

一流になるには、何が大事ですか

佳彦さんは松原市立第三中学校で職業教育の講師を長年引き受けてきた。優等生にもやんちゃな子にも、隔たりなく接する。中学生を相手に真っ向勝負の講演を行うことが好評で、10年も続いている人気の授業になった。佳彦さんの話を聞いて感動したという中学生が、初任給で河内鴨を買いに来たという逸話もある。

小学校からも大学からも、依頼があればできる限り出向いて話すよう、心がけている。「一流と言われる津村さんに聞きます。一流になるには今から何をしておくことが大事ですか」という小学5年生の質問には度肝を抜かれたという。「一流をたくさん見ること、そしてたくさん友達を作ること」と答えた。

「ブランド化ってぇどうやったらできるんですかぁ」という大学生からの気の抜けた質問は容赦なく一蹴。「お前アホか。そんな簡単にできるかい」。長年真剣に、真っ向勝負で仕事と向き合ってきた佳彦さんの生き様そのものに答えがある。

河内鴨、どこで買える? 食べられる?

松原市にあるツムラ本店では一般の消費者も河内鴨の精肉を購入することができる。地元客だけでなく関西各地から買い付けにやってくる。客は後を絶たない。最寄駅からレンタサイクルで来店する方もいた。まあ何と言ってもオススメは、河内鴨ロースの刺身。やっぱりワサビ醤油がいい。そのほかタタキ、煮鴨、スモークなど調理済みの逸品もあるので重宝する。

河内鴨を食べることができる料理店も増えた。神戸三宮の「田ぶち」や大阪ミナミの「おら鴨」など河内鴨の専門料理店をはじめ、関西各地の名店で河内鴨を味わうことができる。メニューに河内鴨を見つけたら是非味わってもらいたい。

取材日 2019/3/29

記 事 福島征二

写 真 ミヤギナミエ

氏名 / ふりがな
津村佳彦 / つむらよしひこ
生年
1965年生まれ
組織名
有限会社ツムラ本店
役職
代表
従業員
25人
主な生産作物
合鴨
正式な品種名
チェリーバレー
特徴
真っ向勝負
理念
かわいいヒナから、おいしい合鴨肉まで
JAエリア
JA大阪中河内
購入方法
ツムラ本店(直売所)
松原市 ふるさと納税 : http://www.citydo.com/furusato/official/osaka/matsubara/product/
<飲食店> おら鴨 / 鳥料理、など多数 : http://www.oragamo.com/

有限会社ツムラ本店

大阪府松原市別所8-10-24

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