果実とスイーツのコラボで地域活性化を目指す。

垣内義人さん 大阪ぶどう

(かきうちよしひと / 垣内農園)

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想定外の新卒就農

河内長野にある関西サイクルスポーツセンターのすぐ近く。たくさんの果樹を育てている垣内農園をたずねた。出迎えてくれたのは垣内義人さん(33歳)。垣内農園の4代目だ。

ぶどうを主軸に、すもも、もも、ブルーベリー、かき、みかん、キウイ、獅子ゆず、レモンなど、春夏秋冬、年間を通して実のなる果実を生産している。

農家の長男として生まれた義人さん。学生時代には、30歳を過ぎたら、脱サラして就農しようと思っていた。金融関係への就職を目指して活動していたが、50代半ばでお父さんが急逝。大学卒業と同時に就農することになった。「右も左もわからないなかで、母や大阪府の農の普及課の普及員さんなどに教えてもらいながら、農業を継ぐことになりました」。

父の意を継ぐぶどう栽培

義人さんの祖父は、みかんと野菜の栽培を主にしていたが、父の代からぶどう栽培に着手。「生前、父は果樹のなかでも特にぶどうを育てることに熱心でした。その意を継いで、自分の代でもぶどうを主軸に置いて栽培しています」。

義人さんの栽培の特徴は少量多品目、かつ多品種。ぶどうだけでも巨峰、藤稔(ふじみのり)、ピオーネ、シャインマスカット、ブラックビート、多摩ゆたか、リザマート、ハニーレッドなど、その品種は10種類を優に超える。苗屋やメーカーのサイト等から、情報を入手し、いろいろな品種を取り寄せて増やしてきた。

「大粒のぶどうが好きなんです。自分もいろいろなぶどうを食べたいですし、何よりもお客さまに美味しいと喜んでもらえるものをつくりたい。ぶどうは一枝に一房を残すように摘果し、木で完熟させてから収穫しています」。

品種が多いと、異なる見た目や味を楽しんでもらえるし、収穫時期がずれるので、長期間にわたって出荷することができる。

栽培方法へのこだわりと美味しいぶどうづくり

除草剤は一切使用しない。草は機械で刈り取り、引き抜かず、いわゆる草生栽培を行っている。刈草のすき込みによる地力増進や土壌の地温調整や浸食防止、微生物や有機物の増加が期待できる。また、土づくりには有機質肥料をすき込み、農薬を必要外には使用しない。みかん、レモン、ゆず、は大阪エコ農産物の認定を取得している。

自然豊かな河内長野。義人さんの果樹園には、ウサギ、イノシシ、アナグマ、アライグマ、サルなどもやってくる。電気柵などによる獣害対策も必須だ。

「いろいろと大変なこともありますが、農業は、自分がやればやるだけ結果につながるところが面白いです」。ぶどう栽培に取り組みはじめた時、リザマートという品種の実の多くが割れてしまった。もともと皮が薄い品種であること、原産地が砂漠地帯なので、雨が多く湿気の多い日本では実割れが発生しやすいのだ。

義人さんは翌年、土壌にシートを被せて、土中の水分を出来るだけ一定に保つよう試みたところ、実割れは防ぐことができた。「特別なことを何もしなかった1年目と異なり、自分の工夫と努力で結果が変わった。そこから、もっと能動的にやっていこう、技術を磨いていこうという気持ちが芽生え、美味しいぶどう栽培にのめりこんでいます」。

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