去年より1本多く収穫できる、その1本を喜ぼう。

松岡利行さん 大阪えだまめ

(まつおかとしゆき / 個人経営)

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農業は、毎年が一年生だ

農業を続けるにあたり、利行さんが心に秘めている言葉がある。「農業は、毎年が一年生だ」という、ひと言だ。農業は自然とのかかわりの中でやっている仕事である。毎年、うまく行くわけではない。「たとえ失敗をしても、失敗は経験値を押し上げ、自然に対して歩み寄る方法を教えてくれる」と、利行さんは言う。

受け継がれていく、手仕事

「明日は、奈良の田んぼに行くんです」。行って、帰ってくるだけで2時間かかる場所に田んぼがある。効率は悪いが、お金ではない。縄文晩期から、八尾に連綿と続く稲作文化を守りたいという気持ちでやっている。

田植え後の捕植作業(機械が植えそこなった箇所を人の手で植えていく作業)をしていたときのこと。道行く人に「こんなことをしているより、枝豆の出荷をしている方が実入りがええんとちゃいまっか」と、また別の人に「捕植をやって一体、何本多く取れるの」と、言われたそうだ。

捕植をして米が1本分多く取れても、さほど利益が出るわけではないことはわかっている。しかし手間暇かかったとしても去年より1本多く収穫できる、その1本が嬉しいのだとう。来年は32アールの作付け依頼があり、面積は1ヘクタールに増える予定だ。

畑の作業も、田んぼの作業もほとんど一人でやっている。面積がふえれば、仕事がふえる。大変になることは承知の上で、作付け依頼を引き受ける。利行さんは、「畔(あぜ)塗り」(田を囲むあぜを塗り固めること)を、父親から徹底的に教わった。利行さんの畔塗りは、水が一滴ももれることがない。若いころ、父親から怒られながらやってきたことがいつしか体に沁みついていた。

取材日 2019/6/21

記 事 湯川真理子

写 真 柴田久子

氏名 / ふりがな
松岡利行 / まつおかとしゆき
生年
1964年生まれ
農家歴
31年(1989年就業)
前職 / 出身校
サラリーマン
組織名
個人経営
従業員
本人(たまに奥さんが手伝う)
主な生産作物
枝豆、小松菜、米
正式な品種名
大雪みどり(枝豆)、えぞみどり(枝豆)
耕地面積
畑45アール、田んぼ 作付面積68アール 作業受託20アール
特徴
八尾市内の学校給食に小松菜、八尾枝豆を長年、納品し、地産地消を実践。小学校へ出向いての食育授業や園場見学を行っている。自然に歩み寄る農業。
理念
農業は毎年、一年生
JAエリア
JA大阪中河内

個人経営

大阪府八尾市

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