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川崎佑子さん 大阪いちじく

(かわさきゆうこ / 七彩(なないろ)ファーム)

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塾講師から一念発起、農家へ

羽曳野市でこの4月に農家として独立したばかりの川崎佑子さん。佑子さんの農園「七彩(なないろ)ファーム」にはいちじくのほか、イタリアントマトやズッキーニ、セロリ、ニンジン、菜の花などを無農薬、無化学肥料で栽培している。近い将来、大阪エコ農産物に申請する予定だ。

枚方市出身の佑子さん。小さい頃からアウトドア派で、小学生の頃は菜園活動が大好きだった。高校時代もバスケット部に所属しながら、学校畑を手伝う女子高生だった。

「私の母もガーデニングが好きでした。でも『食べられるものを植えてよ〜』と頼んでも、母は花を育てるのが好きで、野菜を植えてくれなかったんです(苦笑)」。大学受験で岐路にたった佑子さん。農学部を受けるべきか、教育学部を受けるべきか。迷いに迷って、最終的に入学したのは教育学部だった。卒業後は、塾講師として子どもたちの教育に携わった。

「子供が好きで、教育に携わる仕事にも興味がありました。子供でも野菜でも、私は『育てる』ということが好きなんだと思います」。しかし、農業への想いは消えず、30歳を目前にして一念発起。「どうしたら農業ができるかを片っ端からネットで検索し、農業大学校の存在を知ったんです」。

「農園たかはし」のスタッフから独立へ

大阪府の農業大学校時代に実習先としてお世話になったのが、「農園たかはし」だった。約900坪の土地にビニールハウス7棟で小松菜、チシャ、トマト、なす、きゅうり等の野菜を農薬や化学肥料を使用せずに栽培する農事組合法人である。ご縁は深く、佑子さんは農大卒業後、そのまま「農園たかはし」に就職することになった。

「4反ほどの畑をまかせてもらい、ビニールハウスでトマト、ピーマン、パプリカ、カブ、ニンジンなどの栽培を担当していました。与えてもらった仕事を必死でこなしました」。

「農園たかはし」のスタッフとして頑張っていた佑子さんを、遠くからそっと見ていた人がいた。小谷典弘(つねひろ)さんだ。小谷さんが経営する(株)小谷工務店は、除草工事や田畑の畔の整備、農業土木から家庭の大工仕事や雨漏り修理などを請け負う会社。佑子さんの担当する田畑の近くを通りかかる度に、その仕事ぶりがよく目についたのだという。

「女の子一人でよぉ頑張ってるな~と思っていました。とにかく一生懸命、めちゃくちゃ真面目にやっているのが印象的でした。そろそろ独立するという噂が耳に入りましてね。高齢で畑仕事がしんどくなってきたうちの父の畑を誰かにやってもらえないかと模索していたので、声をかけさせてもらったんです」という小谷さん。

そんなこんなで、佑子さんは、小谷さんのお爺ちゃんのいちじく畑と野菜畑を引き継ぐこととなった。畑の横にはお爺ちゃんの秘密基地でもあった冷暖房完備のカラオケハウスがもれなくついてきた。

「自由に使っていいよ、と言ってくださって、猛暑の夏もここで涼しく休憩することができました。引き継ぎ時に荒れていた農地も、小谷さんが整備してくださったんです」。

小谷さんは、古木になったいちじくの木を新しい木に植え替える際にはショベルカーで手伝ってくれ、大型の草刈り機も貸してくれ、畔の整備もしてくれる。地主さんが農業土木関係のプロだと、有り難いことづくめのようだ。

ひろがる多彩なネットワーク

佑子さんのいちじくや野菜は、直売所のほか、こだわりのある農家の農産物を想いやストーリーと共に届ける「へちまきゅうり」や「八百屋tsutaebito」の移動販売や宅配で購入することができる。

「農場で栽培しているだけでは面白くないし、お客さまも増えないですよね。かといって、自分だけでこだわりや想いを伝えるには限界があります。だから私の想いを伝えてくれる人と繋がり、販売してもらっています。そんな八百屋さんから買いたいと思ってくれるお客様に食べてほしいし、そこで繋がる人たちとコミュニティをつくりたい。そして20〜30年後には、若手の農家に引き継げるといいなと思っています」と熱く語る佑子さん。

佑子さんの「七彩ファーム」には、色々な個性を持ったヒトやモノが集まるような農園にという想いが込められている。

出荷先の一つである「へちまきゅうり」を立ち上げた長倉立典さんは、「農園たかはし」からも野菜を仕入れている。佑子さんが「農園たかはし」のスタッフだった頃からのお知り合いなのだ。長倉さんによると、佑子さんが手がける農産物は、販売する人が「こうあって欲しい」と思うような、まるでかゆいところに手が届くパッケージで出荷されてくるという。

「ゆうこりんは、畑での歩き方しかり、いろいろな意味で安定感があるんですよ。プレゼンテーション能力も抜群です。彼女が語る農業の話は聴く人を惹きつけます。新規就農者のモデルになれるんじゃないでしょうかね」と長倉さんは佑子さんを絶賛する。

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