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トマト栽培で有名な三箇牧地域
高槻市の南部にある三箇牧地域は、50年以上の歴史をもつトマト産地である。三箇牧という地名は、律令国家の時代、兵部省が設置し、軍馬や貢馬、駅伝馬などを放牧していた近都牧を上・中・下に三分したことに由来しているという。
淀川右岸の砂質土壌でトマトを栽培するこの地域の農家は、1945年頃から部会をつくり、統一ブランド「光玉(こうぎょく)」として、大阪府中央卸売市場に共同出荷している。糖度約8度以上のトマトは「濃縮光玉」として出荷される人気商品である。
三箇牧トマトの出荷時期は11月から翌年の6月頃まで。8月の終わり頃、1年のうちで最も大切な苗づくりと定植の時期に、寺本豊さんをたずねた。
誰もできなかった冬越しトマト栽培
三箇牧地域の中の唐崎南という集落を目指し、府道16号線を曲がると「寺本農園」の直売所とトマトハウスが見えてきた。
寺本農園は三代目の豊さんのご家族や従業員さん、パートさんをあわせて総勢7名。ハウス6棟(約59アール)でトマトを年間80トン生産する専業農家だ。「玉三郎」「ごほうび」「みそら64」など、時節や畑の状態にあわせた品種を選んでいる。露地20アールでは、ナスやパプリカ、キュウリなども栽培している。
三箇牧でトマト栽培を始めたのは、豊さんの祖父にあたる正夫さん。様々な野菜の中から地域の特産物にすべく、難しいと言われていた大玉トマトの栽培に挑戦した。
「誰にもできんことをやらなあかん」。正夫さんは自分で竹を組んでハウスをつくり、当時、三箇牧地域で誰も取り組んでいなかった冬場のトマト栽培を開始。失敗を繰り返しながら創意工夫を重ねて、現在の三箇牧トマトのブランドを確立した。
「光玉ブランド」のリーフレットは正夫さんの時代からのもので、昭和のレトロな雰囲気のイラストがいい感じ。
なにわの男前野菜「一番美味しいトマト」で優勝
育苗ハウスの中にいれていただいた。苗半作といわれるほど、苗作りは最も大切な工程。育苗培土を贅沢に入れた大き目のポットに、すくすくと元気に育った苗が整然と並んでいる。よく見るとポットの根の部分や下に白いシートが置かれている。
「夏の暑さでトマトの根っこが傷まないように大切に育てているんです」。
三箇牧トマトの味は、鼻先からすっとトマトの芳香が駆け抜け、舌先に甘酸っぱさが残るのが特徴。ただ甘いだけでなく酸味とのバランスが絶妙なのだそう。
「深紅に近い色の濃いトマトを丸かぶりするのが、おすすめです」。収穫の時期に、真っ赤なトマトを丸かぶりしに来たい。
豊さんのトマトの美味しさは、平成30年5月13日に開催されたヤンマープレミアムマルシェの「なにわの男前野菜 第二回大阪トマト祭り」で「一番美味しいトマト部門」で優勝したという、お墨付きである。