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大所帯、4世代、家族農業
江戸時代から100年以上続く泉佐野市鶴原(つるはら)の三浦農園。就農12年目の三浦淳さん(33)が出迎えてくれた。「小さいときからおばあちゃんにくっついて畑に行くのが大好きでした。収穫用のコンテナに乗って遊んでいたんですよ」。
現在、三浦農園の田畑を耕すのは、淳さんのほか祖父母、父母、姉夫婦と従業員1名の合計8人。三浦農園のオリジナルTシャツやエプロンをそろって着るファミリー農家である。みなさん、とても陽気で明るい。
9規格のその上別格、最上級
作業場では淳さんの姉、麻衣さんが水なすの選別中だった。たくさんの箱が並び、ランク別に箱詰めされていた。「A (L)、A(2L)、B(L)、B(2L)、C(L)、C(2L)、優、代、外」と全部で9つの規格があるが、三浦農園にはもう一ランク上の規格がある。
麻衣さんがちょうど、最上級ランクの水なすを、ひとつずつ丁寧にラッピングしていた。「これはミシュランガイドに掲載されているレストラン等に出荷する水なすです。A品の中からキズ一つなく皮が薄く、形の良いものを厳選しています」。
選別する隣で、無添加ぬか漬け
野菜ソムリエの資格をもつ麻衣さんの目利きで、最上級ランクの水なすが選ばれていく。作業場は農園の隣にあった長屋を改造したもの。選別する部屋の隣部屋では、母の綾さんと義兄の真生(まさお)さんが、水なすのぬか漬けを製作中だった。
「オリジナル・レシピです」という綾さん特製のぬか床は、米ぬかに塩と昆布粉を混ぜたもの。水なす本来の味を楽しんで頂きたいという思いから、色止め剤等の食品添加物は一切使用しない。乳酸菌など微生物の力を借りて、水なす本来の味を引き出したぬか漬けは、深みのある味わい。
袋詰めした後、さらにオリジナルの小さな米袋に入れたパッケージは、何とも小粋でデザインセンス抜群な逸品。「ぬかは米由来でしょう。米つながりということで、水なす漬けを米袋にいれています」。
自家採種して、自然栽培
淳さんにハウスへ連れて行っていただいた。大きな連棟ハウスの中に水なすがずらり。三浦農園が水なすの栽培を始めて、淳さんで三代目。皮が薄くて柔らかく、みずみずしい水なすに育てる技術を祖父から受け継ぎ、水なすの種も代々にわたって自家採種してきたものである。
赤色LEDや赤いネットによる物理的防除と天敵や微生物を活用した生物的防除により、化学的な農薬と肥料を極力使用していない。大阪エコ農産物の認定も取得している。アブラムシの防除には、飛翔能力の低い個体を人為選抜して育種した「とばてん」(飛ばないテントウムシ)や寄生性のコレマンアブラバチ、アザミウマにはスワルスキーカブリダニなどを放飼する。
うどんこ病への対策では、納豆菌、カテキン、バチルス菌、えひめAI(納豆やヨーグルト、イーストなどでつくる微生物資材)、漢方資材などをハウス内に充満させる。「悪さをする菌が増殖しないよう、先にいろいろな有用菌で満たしてしまうんです。化学農薬を使用するよりも、こっちのほうが楽なので(笑)」という淳さん。先手必勝だ。